子供を持つ家族内におけるSARS-CoV-2の感染動態:23 クラスターの研究 @ギリシャ

decorative cardboard illustration of sanitizers and sterile gloves

新型コロナウイルス感染拡大を受け、2021年1月7日に非常事態宣言が発出されました。その後少しずつ新規陽性者数は減少傾向ではありますが、千葉県流山市でも連日新規陽性者が報告されております。

お子さんをお持ちの方や幼稚園・保育園・学校関係者は、小児への感染拡大を懸念されていることと思います。

小児では新型コロナウイルスは感染しても軽度、小児間では感染しにくい、小児感染例のほとんどは家族感染といった特徴が既に知られております。今回は、小児の家族内での感染の様子を評価した論文を紹介いたします

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子どもに感染させちゃったり、保育園で移しあってクラスターになっちゃうと困ります。

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まずはデータを確認してみましょう。

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Transmission dynamics of SARS-CoV-2 within families withchildren in Greece: A study of 23 clusters

J Med Virol 2020. DOI:10.1002/jmv.26394 PMID: 32767703

子供を持つ家族内における新型コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のクラスター発生について調査することを目的とした研究です(→論文へのリンク)

調査対象:ギリシャにおける子供を持つ家族内で発生した新型コロナウイルス感染による23のクラスター。

方法:気道から採取した検体をRT-PCRを用いて診断。ウイルスの量は、PCRのサイクル閾値に基づいて高、中、低に分類しています。

結果:

  • 調査人数はのべ109人(成人66人,子供43人)。
  • クラスターあたりの感染率の中央値は60%(範囲:33.4%~100%)。
  • 成人が発端となったのは21クラスター(91.3%)。
  • 19のクラスターで成人から小児へ、12のクラスターで成人から他の成人へ感染。
  • 子どもから大人への感染や子どもから子どもへの感染は認められませんでした。
  • 合計68人(62.4%)が陽性反応を示しました。
  • 子どもは大人に比べて無症状の割合が高かった(40% vs 10.5%;P = 0.021)。
  • 成人は小児に比べて重症化しやすかった(8.8% vs. 0%;P = 0.021)。
  • 感染した小児は低ウイルス量である割合が有意に高く、成人は中等度のウイルス量である割合が高かった(それぞれ40.7%および18.6% vs 13.8%および51.7%;P = 0.016)。

結論:子どもは新型コロナウイルスに感染するが、他人に感染を移すことはないようです。ウイルス量の意義を明らかにするためには、さらなる研究が必要です。

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いかがでしょうか。実際には子どもから感染するケースがゼロとは言い難いと思いますが、少なくとも他の風と違って頻繁に起きるものとは考えなくて良さそうですね。

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少し安心しました。子どもからの感染が少ないからといって、感染対策をしなくていいというわけではないですよね。

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もちろんです。過度に心配する必要はないですが、慢心は禁物ですね。

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