みなさんこんにちは。副院長の松本優子です。内科担当医として内科疾患を広く担当いたしますが、専門分野は慢性腎臓病であるため、今日は慢性腎臓病における食事療法についてお伝えしようと思います。
慢性腎臓病における食事療法で重要なもののひとつに、減塩があります。とはいえ、食塩量は正確な表示等がない限り目に見えるものではないので、どうしても摂取過多になってしまい、困っている方も多いかと思います。
調理の際の具体的なポイントとして、調味料を加える際には必ず計量スプーンを使用するようにします。主たる調味料に含まれる食塩量については、日本腎臓学会の診療ガイドラインにわかりやすい図が掲載されていたため、これを参考にすると減塩に役に立つかと思います。
医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアルより抜粋
ハムやベーコンなどの加工食品に含まれている食塩量についても注意が必要です。せっかく調味料を控えても、加工食品で台無しに…というケースもよく経験されますので、こちらについても注意を払えるとより良い減塩生活が送れるかと思います。
医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアルより抜粋
他にも減塩のための工夫として、
- 醤油などは直接掛けずに軽量した上で小皿に盛り、少しずつつけて食べるようにする
- 出汁など、旨味を使って減塩を試みる
- 香辛料や薬味を使う
- しょっぱさだけでなく、酸味なども楽しむようにする(具体的には、酢の物なども取り入れる)
などが挙げられます。しょっぱさ以外で、食の楽しみを感じられるようになると良いですね。
また、外食は塩分が多く避けるべきと指導されることが多いですが、どうしても調理が苦手、足腰が弱っていて台所に立つことができないなど様々な事情を抱えた患者様もいらっしゃるかと思います。そこで、外食の際に気をつけると良いポイントについては以下の通りになります。
- メニューに表示された栄養表示をしっかり確認する(ファミリーレストランなどでは店舗によっては塩分量をメニューに掲載している場合があります)
- 麺類は塩分量が多いため原則避けたほうが良いが、どうしても食べたい時は汁は絶対に飲まないようにする
- 丼ものは塩分調整が難しいため、なるべく避けるようにする。定食を選べば、汁物や漬物を残すことができる
- サラダはドレッシングを別の皿に分けてもらうよう頼む
- 鍋物は塩分摂取量が多くなるため注意する
- 外食で塩分をたくさん摂ってしまった場合には、その日の他の食事は一切塩分を摂らないなど調整を試みる
以上は日本腎臓学会の診療ガイドライン(医師・コメディカルのための慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル)を参考にしました。当院では患者様向けにわかりやすい食事指導の資料も準備しておりますので、分からないことがあれば医師や看護師に気軽に相談なさってください。減塩のためのおすすめレシピなどもお渡し可能です。毎日の食事を楽しみながら、無理なく減塩し腎臓を長生きさせることができるよう、一緒に頑張っていきましょう!
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