ワキ汗でお困りの方に、保険診療による治療薬であるエクロックゲルをご提案いたします。
エクロックゲルは2020年11月に日本で初めて保険適用を認められた塗り薬です。クリニックにて保険適用で処方できます。ゲル状の塗り薬なので気軽にご使用頂けます。
多汗症による大量の汗は、交感神経から伝えられる汗の指令を受けて主にエクリン汗腺から出ています。エクリン汗腺は、特にわき・手のひら・足の裏に多く分布しています。エクロックゲルは、交感神経が放出する発汗指令であるアセチルコリンの作用をブロックして発汗を抑制する働きがあります。
塗り始めてからおよそ2週間~4週間程度で効果が出てくるとされておりますが、効果の感じ方には個人差があり、それ以上に早くまたはゆっくりと効果が現れる方もいます。国内治験では単剤で約80%の方で汗が抑えられ、60%の方は日常生活に支障が無くなる程度まで改善したというデータがあります。
以下の症状が出た場合は使用を中断する必要があります。
- 口の渇き
- 普段より眩しさを感じる(閉塞隅角緑内障のある方は使用できません)
- おしっこが出にくくなった(前立腺肥大による排尿障害のある方は使用できません)
- 皮膚トラブル(湿疹やかぶれなど)
また、原則として妊婦・授乳婦は当院では処方できません。お子様の場合は治験での安全性が確認されている12歳以上を対象とさせていただきます。
その他、本剤の成分(アルコールなど)に過敏症のある方は使用できません。
ワキ汗にお困りの方はお気軽にご相談ください。
以下、よくあるご質問にお答えいたします。
Q:「1日1回」とは、いつ塗ればよいですか?
A:塗る時間は決められていませんので、就寝前など決まったタイミングでの塗ることをお勧めします。
Q:塗った後、乾かす必要がありますか?
A:衣服等への薬剤の付着を防ぐために塗った後は乾かしてください。夜間に塗ることをおすすめします。
Q:塗り忘れた場合はどうすればよいですか?
A:気付いた時点で塗ってください。2回分を1度に塗らないでください。
Q:使用量の目安を教えてください。
A:1回の使用量は、右わきにポンプ1押し分、左わきにポンプ1押し分です。
Q:いつまで塗り続けたらよいでしょうか?
A:汗が気になるときは続けてください。冬場など落ち着いている時は休止しても大丈夫です
Q:自分が原発性腋窩多汗症に該当するかわかりません。
A:シャツに汗染みができるなど、日常生活に支障をきたすほど多量の腋窩(わき)の汗が、明らかな原因がないまま6ヶ月以上みられ、以下の6症状のうち2項目以上当てはまる場合を原発性腋窩多汗症と診断しています。
- 最初に症状が出るのが25歳以下であること
- 左右両方で同じように発汗がみられること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1週間に1回以上多汗の症状がでること
- 家族にも同じ疾患の患者さんがいること
- わき汗によって日常生活に支障をきたすこと
Q:自己負担はどの程度ですか?
A:本日現在の保険薬価は1本あたり4,874円(3割負担の場合、1,460円)です。
現状では処方可能な本数は1本です。1本に20g入っており、この量が2週間分に相当します。
※エクロックゲルは新薬であり、発売開始から1年間(2021年11月末まで)は「最長で2週間分」という処方制限があります