当院では従来の注射型のワクチンだけでなく、鼻スプレー型のワクチンも採用しています。

こちらについてご紹介させていただきます。

鼻スプレー型ワクチンの詳細

名前:フルミスト(FluMist)

製造国:カナダまたはアメリカ

製造元:MedImmune(アストラゼネカ)

用量:0.2 mL

使用方法:両鼻に0.1mLずつ噴射する。

2003年にアメリカFDAに認可された生ワクチンで、長期の実績により効果と安全性が確認されておりますが、日本では未認可です。

フルミストの接種対象者

2歳〜49歳の基礎疾患のない方。

※新型コロナウイルスのワクチンとは2週間以上の間隔をあけてください。

※注射が可能な程度の鼻水等の症状のある方や、泣いてしまって鼻汁でワクチンが流れ出てしまう可能性のあるお子様は接種できないことがあります。

フルミストの接種ができない方

  • 5歳未満で、今までに喘息があった方・1年以内に喘鳴のあった方
  • 2歳未満のお子様
  • 50歳以上の成人
  • ワクチンの成分または過去に接種したインフルエンザワクチンに対して重度のアレルギー反応を起こしたことがある人
  • アスピリンまたはサリチル酸塩を含む医薬品を内服中の2歳から17歳までのお子様
  • 原因を問わず、免疫抑制状態にある方
  • 重度の免疫不全者の世話をしている人(フルミスト接種後の7日間で、これらの人との接触を避けられる場合は可)。
  • 脾臓のない人、または脾臓が機能していない人
  • 妊婦
  • 脳脊髄液と口、鼻、耳、または頭蓋骨内の他の場所との間に活発な漏れがある人
  • 人工内耳を装着している方
  • 一定時間以内にインフルエンザの抗ウイルス剤を服用した人。(オセルタミビル(タミフル)とザナミビル(リレンザ)は48時間、ペラミビル(ラピアクタ)は5日、バロキサビル(ゾフルーザ)は17日)

フルミストの接種回数・料金

費用:11000円(数が少なく、新型コロナウイルスの影響もあって輸入等にかかる費用が高騰しており、高めの料金設定となってしまっており申し訳ございません)

年齢を問わず1シーズンあたり1回の接種で、効果が1年間持続します。

例外:2-8歳で、かつこれまで一度もインフルエンザワクチンを打ったことがない場合は4週間間隔で2回必要となります。これに該当する場合は、2回分の予約を行うか、1回しか予約できなかった場合はキャンセルをお願いいたします。

フルミストの特徴

従来のインフルエンザ不活化ワクチンの注射と違い、鼻腔内にスプレーを吹きかけるだけなので、痛みがありません。株の種類は注射型と同様A型2種類、B型2種類の計4種類の株が入っていますが、生ワクチンといって増殖可能なウイルスで免疫を誘導して抗体を作るため、流行しているインフルエンザと株が違っても発症を軽症化させる作用があると考えられています。

インフルエンザウイルスは主に、鼻やのどなどの粘膜に感染します。フルミストは注射と異なり、鼻腔に直接吹き付けるために従来の注射ワクチンで主に誘導されるIgG抗体だけでなく、鼻や喉の粘膜に分泌されるIgA抗体も作られるため、予防効果が高いと考えられています。ただし、注射と同様、接種すれば100%感染を予防できるわけではありません。

フルミストのウイルスが感染する可能性はあるか

重度の免疫不全症の患者さんを除いて、ワクチンでインフルエンザの病気が生じることはありません。これは含まれるインフルエンザウイルスが病気を引き起こさないように弱毒化されているためです。弱毒化されたウイルスは低温適応型で、肺などの温度が高い場所ではなく、鼻の中の温度が低い場所でのみ増殖するように設計されています。

副反応

<お子様の場合>

主にお子様に見られる副反応には鼻水、喘鳴、頭痛、嘔吐、筋肉痛、発熱、喉の痛み(年長児の場合)があります。

<成人の場合>

主に成人の方に見られる副反応には鼻水、頭痛、咳があります。

これらが発生したとしても、ワクチン接種直後に始まり、通常は軽度で短期間で消退します。またワクチン接種直後に気を失ったり、めまいがしたり、視界が変わったり、耳鳴りがしたりした場合は、医師に伝えてください。まれに、インフルエンザワクチン(または他のワクチンでも同様に)の接種後に重度のアレルギー反応であるアナフィラキシーが起こることがあります。これは、インフルエンザワクチン100万回の接種につき1~2件程度で、これらの反応はアドレナリンの筋肉注射等で治療することができます。

<その他>

注射のインフルエンザワクチンの予診票にも記載されているものですが、以下の副反応のリスクがございます。

そう痒、血管浮腫、頭痛、一過性の意識消失、めまい、発疹、じんましん、湿 疹、紅斑、多形紅斑、顔 面神経麻痺等の麻痺、末梢性ニューロパチー、失神・血管迷走神経反応、しびれ感、筋力低下、発熱、悪寒、 怠感、リンパ節腫脹、咳嗽、動悸、振戦、嘔吐・嘔気、腹痛、下痢、食欲減退、関節痛、筋肉痛、ぶどう膜炎など。

稀なものとしては次のような重篤な副反応が起こることがあります。ショック、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎、脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎、ギラン・バレー症候群、けいれん、肝機能障害、黄疸、喘 息発作、血小板減少性紫斑病、血小板減少、血管炎、間質性肺炎、Stevens-Johnson症候群、ネフローゼ症候群などです。このような症状が認められたり、疑われた場合は、すぐに医師にお伝えください。

重篤な副反応に対する補償について

フルミストは国内未承認のため、公的な補償は適応されません。そのためフルミストによる健康被害が起こった場合は、厚生労働省の予防接種健康被害救済制度による補償や、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の医薬品副作用被害救済制度による補償は受けられません。フルミストにより障害1級・2級に該当する副反応や死亡が生じた場合には、輸入商社であるMonzen Corporatioによる輸入ワクチン副作用被害救済制度(→こちら)に基づいた補償が適用となります。

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